おひとよし

愛すべきバカまで到達できるならば、きっとそれが幸せだろう。
そんなことを再確認する。


結局、彼は軽く眠りにおちたが、目覚めた後、明け方まで眠れることはなかった。
丸飲みして腹に落とせる性分ではない。自分自身で噛み砕いて落としこまないと
どうにもならないから。
たどり着くのは、自分もっと気が利けばわかることやろうに、と。
多分、うれしいが先行して、それ以上のところまではたどり着けないのであろう。


言葉にされたものだって、どれほど正しく認識されるかわからないものなのに
言葉にされていないものを、どう認識できたのか。
きちんと言葉にされていない部分をみないといけなかったんやろう。
ちょっと考えればわかりそうなものを、全く感じる気配もなく、ただただ
ゴメンナサイ、スミマセン。自分が恥ずかしい!(ツッコミ気分にもなる)


眠れないベッドでゴロンと寝返り打って、なんだかんだで、人が好きなのかもな
と一寸の眠気の間に考える。
「あぁ、オマエはお人好しじゃないか・・・」そして、既視感。
「自分の想いは自分の想い。相手の想いは無論相手の想い。相手が、もし
楽しいのならば、それがいいじゃん」


窓の外が完全に明るくなったころ、ケータイで手紙を1つ。
「こちらから手紙をしたためることはできないかもね」
そんなフレーズがよぎったりよぎらなかったりしながら、
太陽の日ざしで目が眩む中、彼はパタンとケータイを閉じるのであった。